政策入札研究フォーラムのご案内NEW!!

政策入札研究フォーラムのご案内

2011年6月

一般社団法人・大阪ビルメンテナンス協会
大阪知的障害者雇用促進建物サービス事業協同組合

 日本の障害者雇用は、「企業就労」が65万人、「福祉的就労」が17万人で「非就労」は117万人という現状にあります。さらに、雇用情勢全般の悪化により、完全失業者350万人を含め、「労働市場から排除された人々」、すなわち、働きたいけど、働けていない人々の総数は2000万人とも推計されています。
 ビルメンテナンス産業は、高齢者雇用の重要産業として公益性を発揮してきましたが、近年、障害者雇用でも役割を高め、とくに大阪では、一般社団法人・大阪ビルメンテナンス協会と、大阪知的障害者雇用促進建物サービス事業協同組合(愛称:エル・チャレンジ)の協働事業により、自治体契約物件の入札制度を活用して障害者雇用を促進してきました。

 「大阪方式」とでも評すべき入札制度活用方策は二つです。一つは、自治体から清掃業務などを随意契約で受託し、これを雇用ではなく、概ね1年間の就労支援(職業訓練)として活用し、ビルメンテナンス企業などが卒業生を雇用していくという就労支援事業です。この制度活用により、12年間で約1,300人の知的障害者などの就労支援を実現しました。

 二つめは、「総合評価一般競争入札制度」というもので、2004年度から大阪府が制度導入し、現在では10数自治体に広がっています。この制度は、従来価格だけの競争入札であったものを、「価格」「技術」「公共性」の総合評価方式に改訂し、「公共性」の中に障害者雇用の実績及び企画力を加味するというものです。この新制度により、総合評価入札物件の参加企業の障害者雇用率平均は8%に拡大し、予定価格に対する落札価格の割合も80%台を推移するようになりました。結果、障害者の企業就労は400人を超え、ホームレスなど就職困難者の雇用も含めると、波及効果も含めて1000人を超えました。

 この二つの障害者雇用方策は、地方自治法及び施行令を活用したもので、従来障害者雇用は福祉法と雇用法を活用してきたわけですが、地方自治法を活用したところに発見がありました。大阪府は、これを「行政の福祉化」と表現し、新たなコストを必要としない福祉・雇用政策として、議会や自治体関係者などの高い評価を得ています。また、エル・チャレンジは、これを「施設なき授産」と呼び、施設コストがかからず、かつ企業雇用へと直結しやすいことから、福祉の分野でも共感を広げています。また、一般社団法人・大阪ビルメンテナンス協会は、エル・チャレンジとの協働事業で、「障害者就労支援スタッフ養成講座」を毎年開催し、会員企業の支援スキルを向上させることで、障害者の雇用管理を図り、働き続ける支援を行っています。

 発注者(地方自治体)、中間支援(エル・チャレンジ)、受注者(ビルメンテナンス企業)による障害者雇用のトライアングルは、入札制度に高い社会的価値を付与するもので、私たちは、これを「政策入札」と仮称して、その普及に努めたいと考えてきました。そこで、この「政策入札」を全国に広げるために、この度「政策入札研究フォーラム」を開催することにしました。

 私たちがこの研究フォーラムでめざしているものは三つです。一つは、地方自治法及び施行令の改正及び補強によって、自治体に「行政の福祉化」を、福祉に「施設なき授産」の共感を広げて、働きたくても、働けていない2000万人もの人々のための、「中二階」のような就労支援ステージを提供することです。
 二つめは、総合評価入札制度における「価格」対「技術+公共性」の配点割合を50対50にすることです。総合評価入札も次第に広まってきましたが、価格点数が50点から80点まで、自治体間格差が出てきていますが、これは、障害者等雇用における就労支援(雇用管理)の評価が定着していないためです。企業が公共の見守りによって働きやすい職場を創り、また、それを正当に労務費として評価いただく社会的環境整備を求めていきます。
 三つめは、ビルメンテナンスの労務単価に影響を与えている国の「建築保全業務積算基準」の抜本的改訂を求めることです。エル・チャレンジとビルメンテナンス協会の10年の協働から、ビルメンテナンス事業は、?雇用創出力があり、?労働力のミスマッチ解消に資し、?雇用面にとどまらない公益性を備えている等、「新雇用産業」であるという認識が深まってきました。しかし、「建築保全業務積算基準」の基礎になっている「建築保全業務労務単価実態調査」は、長引く不況と公共委託サービスの無秩序状態の放置によって受託単価が下落していること、また、障害者やホームレス等の雇用ための企業の努力がまったく調査に反映されていないことから、実情を捉えておらず、「新雇用産業」も「官製ワーキングプア」へ化してしまいかねます。国や自治体に積算基準の抜本的に見直しと、「新雇用産業」振興のための制度改正を求めたいと考えています。

 最近、箕面市の「社会的雇用制度」の提案、滋賀県や札幌市等の「社会的事業所」の実践と、共同連の「社会的事業所促進法案」、さらには野田市等の「公契約条例」の制定等、障害者雇用や政策入札に係わるさまざまな試みや提案がなされてきています。これらの提案とも交流することで、政策入札実現の新しいステージを拓いていきたいと考えています。ふるってのご参加をお待ちしています。